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東京地方裁判所 昭和43年(ワ)4368号 判決 1969年2月27日

原告 呉原泰邦こと 呉泰邦

右訴訟代理人弁護士 小林勇

被告 梁本博

<ほか一名>

右両名訴訟代理人弁護士 萩野弘明

同 土田吉彦

主文

一、被告梁本博は原告に対し、金九三万円及び内金四五万円に対する昭和三八年一二月一五日から支払ずみまで年一割八分の割合による金員を支払え。

二、被告金東圭に対する原告の請求を棄却する。

三、訴訟費用は、原告と被告梁本との間では原告について生じた費用を三分し、その二を同被告の、その余を各自の負担とし、原告と被告金との間では全部原告の負担とする。

四、この判決の第一項は、かりに執行することができる。

事実

≪省略≫

理由

≪証拠省略≫をあわせ考えると、被告梁本に対する請求原因事実を認めることができる。≪証拠判断省略≫

次に、被告金が原告主張の連帯保証契約を締結したか否かについて考える。

前記≪証拠省略≫をあわせ考えると、被告梁本は、原告から請求原因第二項の金借をするにさきだち、金額を五〇万円、振出人を同被告とする約束手形を作成して被告金方に持参し、同被告に対し、「原告からは以前にも金借したが、今回さらに金借したい。しかし原告は、手形裏判を押して持参しなければ金を貸せないといっているから、裏判を押してほしい。」旨を述べて右手形に裏書するよう依頼したこと、被告金は、右依頼の趣旨を諒承し、被告梁本に金融をえさせるため、右手形に裏書人として記名押印したこと、原告は、被告梁本から支払確保の目的で右手形の交付を受け、同時に、請求原因第二項のとおり同被告に金銭の貸付をしたものであること、以上の事実を認めることができる(≪証拠判断省略≫)。

右認定事実によると、被告金は、被告梁本が原告から金借するにあたり、自己の信用を利用させるため、被告梁本振出の約束手形に裏書をしたものであることが明らかである。しかしながら、手形の裏書と手形振出の原因債務の保証または連帯保証とは、種々の点で法律上の効果を異にするのであるから、被告金の右裏書が上記趣旨のもとにされたとしても、そのことだけから、同被告が被告梁本の金借につき保証または連帯保証債務を負担することを約したものと確認することは相当でない(最高裁昭和三五年九月九日判決参照)。そして、本件では、上記の手形裏書の事実が認められるだけで、ほかに、被告金が原告主張の連帯保証契約を締結したといいうるような直接または間接の事実を認めるに足りる証拠はない。

以上のとおりで、被告梁本に対し、原告主張の貸金残元本およびこれに対する各弁済期の後である原告主張の日から支払ずみまで年一割八分の割合による遅延損害金の支払を求める本訴請求は、正当として認容すべきであるが、被告金に対する原告の請求は失当であるから棄却すべきである。

よって、民事訴訟法第九二条、第一九六条にしたがい、主文のとおり判決する。

(裁判官 中田秀慧)

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